『金沢市内の住宅』のコンクリート試験結果のまとめ →※1
コンクリートの採取場所と養生による4週強度の差
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1階躯体 33-18-25N 平均気温5.5℃ 2007/12/22(土) |
荷下ろし
標準養生
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41.3N/mm2
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100%
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筒 先
標準養生
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37.7N/mm2
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91.2%
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荷下ろし
現場気中
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35.3N/mm2
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85.4%
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筒 先
現場気中
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33.2N/mm2
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80.3%
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2階躯体 33-18-25N 平均気温2.0℃ 2008/01/22(火) |
荷下ろし
標準養生
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39.0N/mm2
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100%
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筒 先
標準養生
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36.8N/mm2
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94.3%
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荷下ろし
現場気中
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28.6N/mm2
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73.3%
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筒 先
現場気中
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31.7N/mm2
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81.2%
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・用語の説明
「荷下ろし」は生コン車から出したばかりのコンクリート
「筒先」はポンプ車を通って筒先からでてきたコンクリート
「標準養生」はプラントの試験室の養生槽で20℃の水中に浸けたテストピース
「現場気中」は現場で雨の当たらない場所に列べておいた
テストピース
「平均気温」は打設後一ヶ月の平均気温 →※2
「○○%」は標準養生を100としたときの強度
・注意
赤字で示した2階躯体荷下ろし現場気中の強度は疑問が残る。一ヶ月間の平均気温が低いことからテストピースが外気の影響を受けやすい場所に位置していたかもしれない。テストピースは1週・4週・型枠解体用などを合わせて30本を3段にして置いたのだが中央部より外周部の最上段が不利だろう。
・まとめ →※3
ポンプ車を通るか通らないかの、荷下ろしと筒先の差は5から10%養生を行うか行わないかの、標準養生と現場気中の差は15%。一番いい状態の荷下ろし標準養生と一番悪い状態の筒先現場気中の差は20%・・・となった。これまでの現場でも似たような結果が出ている。
通常の現場では、荷下ろし標準養生の結果でコンクリートを判断するのだが現実に現場で打設されたコンクリートはへたするとその2割減の強度しかでてない可能性もあるということである。特に散水や冬期の保温などの養生が適切でない場合は最大15%も強度に大きく影響を与えることになる。
私が監理する現場では、打設開始時にポンプ車を通ったモルタル分を含むコンクリートはかなり大量に廃棄しているが、それでも一割弱の強度が落ちている。(ちなみに一台目と二台目の差は3%程度だった)開始時はなるべく雑壁など重要でない部分から打設をはじめることが必要かもしれない。
いくら構造計算をまともにやっても現場の状態によって建物の強度は随分左右されるということだ。
試験結果で強度が何割減と書いているが・・・この住宅の設計で必要なのは21+3=24N/mm2である。水セメント比の指定が55%以下という特記や温度補正などでコンクリート強度を33N/mm2で打設しているので、建物に問題はないことをつけ加えておく。
※1
コンクリート試験結果のまとめ方の例 ←pdf
※2 打設後一ヶ月の「平均気温」は自分で調べなくてはならない。
調べ方を以下に示しておく。
気象庁統計情報のページ→過去の気象データ検索→
都府県支庁を選択→地点の選択→西暦の選択→
月の選択→日は選択しないで、データの種類の
「****年**月の日ごとの値を表示」を選択
その地点のその月の気圧・降水量・気温・湿度・風向・
風速・日照時間・天気概要・・・などがバッチシ表示さ
れる。インターネットって便利だね !
※3 コンクリートについては以前に「設計事務所の仕事」に基本的な説明をしている。
コンクリートについて