1999年12月21日 Tue

倭乃里

倭乃里(わのさと)
岐阜県高山市一之宮町1682

「谷口建設社屋」の建築士会連合会賞の副賞が 30万円。税金を引いて手取りは27万円。・・・こんなものから税金を引くなよ〜って感じ。ずっと何に使おうかなぁ〜っと考えていた。金額からして最新のパソコンちょうどいいか・・・でも、なぁ。なんかしっくりこないなぁ。何を買っても似合わないような気がするし・・・。物ではなぁ・・・。いくら久しぶりの収入だとはいえ、生活費にするにはちょっと悲しいし。後で何に使ったかも思い出せなくなってしまう。第一、記念にもならない。これじゃぁ、正しい賞金の使い方でもないだろうな。 ・・・で、今回受賞した建物の建築主&施工者である谷口氏の家族4人と僕たち2二人、計6人で一泊の温泉旅行でぱぁ〜っと使ってくることにした。今回は、建築主と施工者が同じだったので助かった。でないと持ち出しだ〜。

週末に岐阜県の高山にある『倭乃里』という旅館に行くことになった。藁葺き屋根の離れを借りて二家族で遊んでくるという計画。 母屋は40年位前に神岡から、離れは近郊の民家を移築したものらしい。我々が泊まったのは『臥龍』という離れの一軒家。藁葺き屋根・・・って思っていたら違っていてちょっとがっかり。6人が宿泊できるのはこの部屋だけだということで・・・。一応、帰る前に藁葺き屋根の方を見せて貰い探検してきた。別に吹き抜けているわけではなくて、外観だけの藁葺きだったので『臥龍』でよかった。いろりが付いているのはここだけだったし。夏ならいろりは要らないのでデッキが付いている『天領』がよさそうだね。

門をくぐって母屋まで歩いていくと、いろりの脇にはもうお茶の用意ができていて『どうぞ』・・・と。あれれ〜、僕たちが到着したことがどうしてわかるわけ ???って。門にセンサーが付いていて、母屋に到着するまでにお茶の用意が整う。いいよね。こういうのって。お茶をいただきながら宿帳に名前を書いてとりあえずくつろがさせてもらう。

それから離れの方に・・・。

寝室12帖プラス床の間付きの和室+水屋も付いた茶室+茶の間+24時間入れるヒノキ風呂+トイレ+洗面脱衣所+いろりのある広い板の間+玄関という構成の平屋を借りたわけ。おぉ、何と贅沢な・・・。これで大人一人36,000+4歳の子供は施設使用料として3,000だった。これにプラスして消費税。和室には床暖房が入り、いろりには炭が赤々と・・・。三部屋にはストーブも焚かれ暖かくていたるところに生花も活けられていい感じ。よ〜く探検してから気付いたのですが、うちの家よりも広いじゃない。

母屋の浴室は木と石の二つあって男女が入れ替わる。川の景色を見ながら入浴できるのがいいね。石の風呂は温泉と水に分かれていた。女将さんによるとお湯と水の両方があるのが風水上いいんだとか。でも木のお風呂は温泉だけだったぞ ! なぜだ〜。 離れの浴室の方がヒノキの香りを楽しむことができた。とりあえず全部入るのだ。

夕食は母屋の赤壁の部屋で、朝食は広間でいただいた。夕食が個室だった(6人だからか ?)のはラッキーだった。分厚いヒノキのテーブルでとる夕食はイチイの実でつくった食前酒から始まり飛騨牛の鉄板焼きなど多彩でおいしい食事だった。多分、他の離れの方は朝食をその部屋でとられたのだろうか ? しかし、朝、景色の見える・・・うっすらと雪景色の川を観ながら・・・広間で。夕方、部屋を楽しむ個室で・・・の組み合わせだった私達は運が良かったようだ。夕食の後『イチイ』でつくったというお箸のプレゼント ? もあった。イチイは一位とも書くから縁起がいい木で箸に良いとか。

夕食が終わって離れに帰ろうといろりのある玄関にでてみると、宿泊者の皆さんがいろりを囲んで振舞酒を飲んでいた。割竹に入れたお酒を囲炉裏の火で燗をして竹を輪切りにした猪口でいただくとか。振舞酒だって。僕たちも仲間に入れてもらい飲み始めてしばらくしたときに、そのお客さん達の一人が近寄ってきて『長村さんですか ?』と。あぁ、とうとう僕も有名な建築家になって知らない人から声をかけられる様になったか・・・出世したもんだ・・・と、ぼんやり酔った頭で思っていたけど、んなわけないじゃん。

彼は大高事務所の現在の所員だとのこと。先日事務所に行ったときには、面識のない所員の方に声をかけにくくて話をしなかったうちの一人だとのこと。声を覚えていてくれたらしくて、谷口さんと話す内容で確信を持って声をかけてくれたとか。彼・・・大友氏は奥さんの誕生日ということで夫婦で宿泊しに来たんだって。それを聞いた和泉は『よ〜く、耳の穴をかっぽじって聞いておきなさいよ !』って僕に言っていたけど、酔っていたのでもう忘れた。・・・で、その夫妻と名古屋からのFGK夫妻を交えていろいろ話が盛り上がった。

その後、夫妻は母屋に泊まっていたので、どうせなら離れを観る ? ってことで、離れに戻って飲み直し・・・。夜が更ける毎に酔いは増していくのであった。

次の朝、11時のチェックアウトぎりぎりに、他の離れの部屋を探検してから帰った。トータルでかなりお得な料金設定だと思います。そういえば名古屋からの夫婦はもう5年くらい毎年リピーターとして宿泊しているとのことだった。年輩の夫婦の方も帰られるときに『来年は・・・』という話をされていたところを観るとリピーターなんだろうね。

おすすめとしては、冬は『臥龍』、夏は『天領』でしょうか? 至る所に生花が活けられ、暖房もフルに焚かれていて、振舞酒もあったりしてかなり満足のいく旅館だった。8組しか宿泊できない旅館だから、あの価格では破格ではないだろうか?

建築賞のお祝いに相応しい一泊二日の旅行になった。建築を観ないで宿を楽しむ旅行って初めてだったかもしれんな。でも、写真を撮ってきたぞ。

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40年前に神岡から移築したという母屋の玄関側


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4棟ある離れのうちの三棟。僕たちが宿泊したのは手前の平屋建て。奥の藁葺き屋根はどうも格好だけのようでした。中に入ってみると天井が張ってあったもんね。


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一夜明けるとうっすらと雪景色だった。この離れのすぐ脇を巨岩がごろごろした川が流れていて、そのせせらぎを聴きながら落ち着いたひとときを過ごすわけ。贅沢だよね〜。


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藁葺き屋根の離れには干し柿が・・・。本来なら干し柿は窓の外の軒先に吊す。でも、これは私達の泊まった茶の間から見える位置に干してある。うまくディスプレーとして使っている。


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茅葺き屋根の家の川側


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私達の泊まった『臥龍』の玄関から囲炉裏のある板の間を観たところ。左が水廻り。正面が茶の間。右奥に茶室。右手に和室になっている。全部使えるのか贅沢だ。


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茶の間からの眺め。他の三棟は川に面して茶室がある。


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母屋を入ったところにある囲炉裏。今風に言うならエントランスホールか。天井や梁は煙で燻されて黒光りしている。


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囲炉裏からフロント(正面奥)を見たところ。ここに座って一服していると『コーヒーでも如何ですか ?』と声をかけてくださる。サービスのようだ。


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朝食後、温泉に入ってから谷口夫妻(左)と一服


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この部屋で夕食


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赤壁の部屋で夕食をいただく。まずはお祝いの乾杯 ! ヒノキの分厚い一枚板でできたテーブルを二つ組み合わせて・・・。食事をとるのに夢中で写真を取り損ねてしまった。順番にサーブされるからどちらにしても全てを並べて撮るわけにもいかないけれど・・・。左下が囲炉裏のある玄関ホール。


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帰る前にみんなで記念撮影。頼んだんだけどピンぼけだった。